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静かに週末に備えよ

28歳が送る4歳息子と1歳娘の子育て・読書・バイク(YZF-R6)・煩悩雑多ブログ

【読書】夢を追う苦悩と現実…『バベル九朔』

バベル九朔

バベル九朔

 

 

久々に読んだ万城目学作品。

752ページに及ぶ超大作「とっぴんぱらりの風太郎」以来、数年振りの万城目ワールドです。

 

万城目学の本は読んだことないけどドラマ/映画化された「鹿男あをによし (幻冬舎文庫)」や「鴨川ホルモー (角川文庫)」、「プリンセス・トヨトミ (文春文庫)」を見たことがある方は多いのではないでしょうか。思い返すと玉木宏綾瀬はるか山田孝之堤真一など、大物役者さんが起用されていましたね。著者が京都大学出身ということで京都を題材とした作品がおおく、わたしは「鴨川ホルモー」から読んでいる熱心なファンです。

 

本作『バベル九朔』はかつてないほどのレベルで「万城目ワールド」が展開される、今までの作風とは一線を画す内容となっています。

作家志望の「夢」を抱き、雑居ビル「バベル九朔」の管理人を務めている俺の前に、ある日、全身黒ずくめの「カラス女」が現われ問うてきた……「扉は、どこ? バベルは壊れかけている」。巨大ネズミの徘徊、空き巣事件発生、店子の家賃滞納、小説新人賞への挑戦――心が安まる暇もない俺がうっかり触れた一枚の絵。その瞬間、俺はなぜか湖で溺れていた。そこで出会った見知らぬ少女から、「鍵」を受け取った俺の前に出現したのは――雲をも貫く、巨大な塔だった。

 

主人公の九朔満大は雑居ビル・バベル九朔の管理人。

管理業務の傍ら、小説家デビューを目指しうす暗い部屋で原稿を書き続ける日々を送っていた。これは著者の実体験をもとに書かれた設定だそうで、この構想はもう何年も前から温めてきたのだとか。作中で仕事を辞めてまで九朔くんが小説を書き、新人賞に応募して落選してしまう様は、読んでいるこちらまで絶望してくるつらい現実。

わたしも(27年しか生きていませんが)人生の中で絶望し心折られかけた時期が2度ありました。それは、大学受験と就職活動。小説家デビューと比較すると難易度はそうとう低いと思いますが、果ての無いマラソンを一人孤独に走らされているようなあの焦燥感。保証もない未来に押しつぶされそうになった記憶があります。もし次にそういった状況に陥った時、膨大な無駄と思われる努力を自分に課すことができるだろうか、と自問自答しながら読んでいました。

 

物語の後半、そんな苦悩を抱えながら主人公・九朔くんは仮想世界のバベルに迷い込んでしまうわけですが、そこからは先のストーリー展開は全く持って読むことができないほど奇奇怪怪な様相に。

著者も「振れ幅を大きくしたいと。前半と後半を全く違うテイストにしています」と言っているだけあって、後半から描かれるストーリーを手さぐり感覚で楽しむことができる読者もいれば、未消化のまま腑に落ちない読者もいて様々な意見が出てくると思います。そのため、お世辞にも本作は「万人受けする作品」とは言えないかもしれません。

 

インタビューで著者も「今まで書いてこなかった作風」と発言しており、これまでの万城目ワールドを期待して読むと、上記理由から違和感を覚える読者もいると思いますが、ところどころで展開されるファンタジー要素は十分に健在しています。著者のデビュー10周年目ということでなんらかの挑戦の意味合いもあるだろう本書。恥ずかしながら、作中に登場するスタイル抜群・カラス女の胸の谷間描写ばかりが気になってしまい、わたしは集中して読むことができませんでした…。

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